週刊新潮  2007年6月28日号 130ページ
結婚 見合いで結ばれた「内藤楽器」跡取りと旅館「令嬢」の良縁 
























 

山梨県甲府市に本社のある『内藤楽器』は、創業が明治35年。創業者の内藤八十一氏は、山梨県で最初のピアノ調律師となり、ピアノや管楽器、弦楽器、打楽各の販売を手掛けた。特にピアノは、県内や静岡、長野の学校御用達に。昭和29年、ヤマハの音楽教室創設に参画。ピアノの指導方法などを伝授した。その内藤楽器の3代目内藤民部社長の長男・貴さん(31)が伴侶を得た。お相手は、甲府市内で明冶43年創業の老舗旅館『ホテル湯伝』の若女将・廣瀬(旧姓)文乃(あやの)さん(29)である。「実は、僕たちはお見合いだったのです」
 とは貴さん。貴さんと文乃さんの実家は、歩いて数分の距離にあるが、子供時代は面識がなかったという。「知人の紹介で、昨年のバレンタインデーに見合いをしました。堅苦しくならないよう、近くの公民館で、二人だけで待ち合わせました」 お互いの最初の印象は、「しっかりした女性」(貴さん)「見合い写真で見るより、すごく気さくな人でした」(文乃さん)
 というもので、その後二人は、市内・のレストランでフレンチを楽しんだ。「食後、彼が、フルーツティーの美味しい店があるから行きませんかと誘うので、承諾すると、車でどんどん山を変っていくのです」八ヶ岳の麓にある、俳優・柳生博氏が経営する『八ヶ岳倶楽部』まで行った。
 それぞれの家業について、あるいは生い立ちを語り、話は尽きなかった。 文乃さんは、東京家政学院大学を卒業後、新橋にある日本料理店『摩耶』で修業。4年前にホテル湯伝の若女将に。一方の貴さんは、3歳からピアノを習い、ピアニストを志した時もあったが、東京外国語大学を卒業後、ヤマハに3年間勤務。会計の勉強をした後、27歳の時に内藤楽器へ。現在は専務取締役である。「次のデートは1週間後でした」 (貴さん)
 勝沼にある、葡萄園に囲まれたレストランで食事をした。「私は仕事がら、食に対して非常に興味があったので、楽しかった」 (文乃さん)
 その後、週に2回の割合でデートを重ねた。「甲府市内の居酒屋で飲みながら、近況報告です。彼女に、仕事上の相談をしたこともあります」 4月には、昇仙峡へ。「昇仙峡の登り口に、甲府盆地が見渡せる夜景の綺麗なスポットがあるのですが、そこで、今後もよろしく″と彼女に伝えました」
 正式のプロポーズは5月31日だった。「彼女の好きな東京ディズニーシーに行ったのです。感動的なプロポーズがしたかったのですが、なかなか言い出せなくて。帰り際に、二人の写真を操ってもらって気を落ち着け、結婚して下さい″と言ったら、はい″と言ってくれた」
 9月に結納を交わし、挙式はこの5月26日、貴さんの母親の実家が経営する旅館『談露館』に140人を招いた。「旅館も楽器も、お客様を喜ばせるという点で同じです。披露宴は二人の合作となりました」 (文乃さん)
 料哩の食材は、甲府の名産である南アルプスのサクランボや増穂の柚子、甲府のワインビーフなどを文乃さんが選び、試食会も行うほど疑った。「従兄で東京フィルの指揮者・渡邊一正氏のピアノとN饗の篠崎史紀氏のヴァイオリンで『愛のよろこび』や『スプリングソナタ』などを演奏していただきました」 (貴さん) 文乃さんは若女将を辞め、貴さんを支えていくそうだ。